マシュー・ボーン Sir Matthew Bourne OBE

マシュー・ボーンの写真

ミュージカル「メリー・ポピンズ」振付でも注目!

1960年1月13日生まれ

イギリスで最も人気があり、成功している振付家、演出家。

世界最長ロングラン記録を持つバレエ作品の創り手であり、ローレンス・オリヴィエ賞を5回受賞、トニー賞の優秀振付賞と最優秀ミュージカル演出賞の両方を受賞した唯一のイギリス人である。オリヴィエ賞の最優秀演出賞に2回ノミネートされた他、30以上の国際的な賞を受賞。01年にはイギリス王室よりOBE(大英帝国四等勲士)を叙勲。03年ハンブルグ・シェイクスピア芸術賞受賞。10年ブリティッシュ・インスピレーション賞受賞。16年にはナイトの称号を叙勲。

斬新な手法で古典作品を
新解釈する、
英国バレエ界の奇才、
マシュー・ボーン

白鳥の湖の舞台写真

『白鳥の湖』 2003年

白鳥役を全員男性が演じ、メガヒット!日本でマシュー・ボーンの人気を不動のものとした代表作。Photo by Bill Cooper

くるみ割り人形の舞台写真

『くるみ割り人形』 2004年

原作にアレンジを加え、孤児院で暮らす主人公が、夢の中でカラフルなキャラクターたちと出会う。Photo by Simon Annand

シザーハンズの舞台写真

『シザーハンズ』 2006年

大ヒット映画を舞台化。劇場内に雪を降らせるなど、美しくスケールの大きな演出で観客を魅了した。Photo by A.Groeschel

ドリアン・グレイの肖像の舞台写真

『ドリアン・グレイの肖像』 2013年

自身初の日英共同製作作品。リチャード・ウィンザーと大貫勇輔がダブルキャストで主演し、話題となった。 Photo by Aki Tanaka

シザーハンズの舞台写真

『眠れる森の美女』 2016年

ヴァンパイアを登場させ、目覚めたら21世紀という斬新な設定で観客を驚かせた。 Photo by Johan Persson

マシュー・ボーンがその名を世界に轟かせたのは、何といっても『白鳥の湖』だろう。はかなさが強調されてきた白鳥に、男性ダンサーを起用し、白鳥本来の力強さと繊細さを表現。男性同士の悲恋の物語に観客は魅了され、演劇史に残る数々の記録を打ち立てた。その衝撃は今なお冷めることなく、世界中で新たな観客の心を震わせている。

だが、マシュー・ボーンの伝説は『白鳥の湖』から始まった訳ではない。その3年前、同じくチャイコフスキーの名作『くるみ割り人形』を、誰も見たことがない独創的な作品に生まれ変わらせていた。

2016年には 『くるみ割り人形』、『白鳥の湖』と並び「チャイコフスキーの三大古典」と言われる『眠れる森の美女』が来日し、目覚めたら21世紀という斬新な設定で観客を驚かせた。

昨年末には、1997年に初演され根強い人気を誇る『シンデレラ』をリバイバル上演。プロコフィエフの音楽の魅力をそのままに、あの有名な「シンデレラ」の舞台を第二次世界大戦下のロンドン大空襲に置き換え、愛の奇跡を描いた感動作が、遂に待望の日本初上陸!

- マシュー・ボーン作品
in JAPAN -

  • 『The Car Man ザ・カー・マン』
    (2002年)
  • 『Swan Lake 白鳥の湖』
    (2003年、2005年、2010年)
  • 『Nutscraker! くるみ割り人形』
    (2004年)
  • 『Play Without Words プレイ・ウィズアウト・ワーズ』
    (2004年)
  • 『Hiland Fling 愛と幻想のシルフィード』
    (2005年)
  • 『Edward Scissorhands シザーハンズ』
    (2006年)
  • 『Dorian Gray ドリアン・グレイ』
    (2013年)※日英キャストによるコラボレーション
  • 『Sleeping Beauty 眠れる森の美女』
    (2016年)
  • ミュージカル『メリー・ポピンズ』振付
    (2018年)

マシュー・ボーンが語る
「シンデレラ」

私が1940年のロンドン大空襲を舞台にした『シンデレラ』を創ろうと思ったきっかけは、ある種のパワーと予感、そしてプロコフィエフ音楽の魔法に促されたからです。

私はロイヤル・バレエ団によるフレデリック・アシュトン版『シンデレラ』を観て、初めてプロコフィエフの音楽に恋をしたのです。

『眠れる森の美女』などの偉大なるチャイコフスキー・バレエと同じ形式で、おとぎ話のために作曲されているにも関わらず、プロコフィエフ特有の20世紀的な音楽性がそこかしこに散りばめられていました。名だたるチャイコフスキー・バレエ作品と同じく、グランドワルツ、妖精のヴァリエーション、マズルカ、伝統的ダンスが含まれているのに、そのおとぎ話の魔法の奥底にリアルな感情やドラマチックな欲望が脈打っているのです。

これらは繰り返し聴きたいと思わせるプロコフィエフ音楽の特徴で、聴く度に頭から離れなくなります。

プロコフィエフの『シンデレラ』は1945年にモスクワのボルショイ劇場にて初演。人気を博したアシュトン版は1948年に上演。実はプロコフィエフが本作の楽曲を第二次世界大戦中に書き上げたということを聞いて私は大いに興味を抱き、考えました。歴史に残る暗黒時代の雰囲気が何かしらの形で音楽に反映されているのではないだろうか?されている、と私は感じました。

そして「シンデレラ」の物語を読み込めば読み込むほど、戦時中に設定するのがピッタリだと思ったのです。暗くロマンティックなトーン。一瞬一瞬がすべてであり、愛を見つけても突如として奪われてしまう時代。そして世の中は、まるで明日がないかのように慌ただしかった。

この時代に犠牲を払った人々、愛を見つけた人々、もしくは愛を失った人々の精神や勇気が、この作品に描かれていることを願います。

マシュー・ボーン
Q&Aインタビュー

◆プロコフィエフの楽曲はすべて使っているのですか?
1997年に本作を初めて制作したときは、追加やカットなしで全3幕の楽曲に合わせて振付をしようと試みました。これは、プロコフィエフの息子で自身もアーティストであるオレグに、ダンサーのスケッチをするために稽古に行かせて欲しいと頼まれたことが少なからず理由にあります。彼のお父様の音楽を変更しないよう慎重になっていたのですが、実際にオレグと一緒に過ごしてみると、彼はとても楽しい人物で、私たちが取り組んでいることに熱烈な興味を抱いてくれました。彼のお父様が生きていたら、わたしたちのリメイクをどんなに喜んだだろう、とさえ言ってくれたのです。そのようなことがあり、私たち独自のストーリーを分かりやすく伝えるために細かなカットや改訂を入れていきました。ですが第3幕については全く変更していないと誇りを持って言うことが出来ます。有名なアシュトン版ではカットされた、素晴らしい音楽も全部残っています。
◆あなたはクラシック映画ファンとしても知られていますが、今回のリメイクにあたってインスパイアされた映画はありますか?
このプロジェクトで私の指針となったのはパウエル&プレスバーガーのクラシック映画、『天国への階段』(1946年)です。主演はデヴィッド・ニーヴンとキム・ハンター。ニーヴン演じる、イギリス空軍のパイロット、ピーター・カーターは死亡確実だと思われた海での飛行機墜落事故にあうが、奇跡的に命が助かる。彼が「死」を欺いたため、天国からの使者と天使がミスを犯してしまったということがすぐに明らかになります。生と死の間をさまようものの、男性の守護天使と愛する女性に導かれ、もう一度生きるチャンスを得る。つまり、彼は愛の力で救われるのです。私の『シンデレラ』は決してこのストーリーを完全に辿っているわけではありませんが、同じように空想的で、英国特有の気まぐれとロマンスを、戦時中の愛と葛藤のストーリーの中に含むことが出来たと思います。私たちの「天使」も、通常のおとぎ話に出てくる女性ではなく男性ですが、ケーリー・グラント(『気まぐれ天使』1947年)やいくつかの作品で踊る天使を演じたフレッド・アステアがベースになっています。

他のクラシック映画からインスパイアされた部分もあるのでぜひ注意深く見てください。最後のシーンでは、『逢びき』(1945年)のセリア・ジョンソンとトレバー・ハワード。ロンドン地下鉄の場面に出てくる娼婦たちはヴィヴィアン・リーとロバート・テイラーが主演した『哀愁』(1940年)。私の一番好きな1940年代の女優ジョーン・クロフォードにも敬意を表さないわけにはいきません。レズ・ブラザーストンと私は彼女にインスパイアされ、我らのグラマラスな継母、シビルを創り出しました。
◆ロンドン大空襲を舞台にしたあなたの『シンデレラ』はどの程度歴史的に正確に描いていますか?当時のロンドンで実際に起こった出来事も描いているのですか?
私たちは出来るだけ事実に忠実にしようと努めました。レズ・ブラザーストン、カンパニーのメンバー、私は、多くの時間を使い、古い映画や文書や公的記録映像などで、時代背景とキャラクターをリサーチしました。ですが、少なくとも1つ歴史的に正しくないことが含まれていることは認めましょう。本作にはアメリカ兵士のバスターという登場人物がいます。作品に多様性を持たせるため、どうしても欠かすことができなかったキャラクターですが、実際アメリカは1942年の初めまで戦争には関与していませんでした。

私たちにとって決定的な事件は1941年3月8日に起きた、伝説のカフェ・ド・パリの爆撃。この日の夜、クラブは直接攻撃を受け、踊っていた100組近くのカップル、キャバレー・アーティスト、スタッフが死傷しました。その中には26歳のバンドリーダー、ケン・“スネークヒップス”・ジョンソンも含まれていた。2幕の爆破された神秘的なダンスフロアでは幽霊のようなカップルたちが、胸を刺すようなプロコフィエフのワルツで踊っていますが、それはこの悲劇的な夜を表現しています。またそれはシンデレラの夢、彼女の悪夢も表現しているのです。
◆あなたが長年、組んでいるデザイナーのレズ・ブラザーストンは1997年のシンデレラのデザインでオリヴィエ賞を受賞しました。この新しい公演でコンセプトの大幅な変更はありましたか?
戦時中という時代背景は同じですが、オリジナル版の要素はほとんど残さず、レズと私は新しい視点で全ての角度から作品を見直しました。本作はイギリス国内ツアー、更には海外公演も視野に入れて作られた新しい作品です。白黒(そしてグレー!)のクラシック映画のようにデザインされていて、ニール・オースティンの照明によって魔法と色が加えられました。レズは時代物のデザインになるといつも徹底的にこだわります。衣裳デザインはロンドン市民や軍人の普段着と1940年代の映画スターの華美な装いがミックスされています。それにより、「暗黒の時代」の現実主義と、ハリウッドの現実逃避性や華やかさを共存させることが出来ました。
◆フレデリック・アシュトン版など他のバレエ作品の「シンデレラ」はなにかあなたの作品に影響を与えましたか?
私は20代の頃、ロイヤル・バレエでフレデリック・アシュトン版を観て、『シンデレラ』の楽曲を知りました。その時は自分がこの作品の振付をするとは夢に思っていませんでした。私はアシュトンの熱烈なファン。アシュトンは私が敬愛をもって最も自分と重ね合わせることの多い振付家です。
◆「シンデレラ」のお話はシンプルに、主人公が幸せになるイメージですが、あなたの「シンデレラ」では、犠牲とリスクを払った上で幸せを掴んだように感じます。それがより現実味があり、共感できたのですが、その点についてのあなたの意図をお聞かせください。
その通りです!(観ている人たちに)頑張って幸せになって欲しいと応援してもらえるような登場人物がいる方が、ストーリーとしてずっと面白い。登場人物たちは様々な試練を乗り越えた末に幸せをつかむ。それによりストーリーに緊張感が生まれ、皆さんの満足のいく結末になっていることを願っています。
◆あなたの数多ある作品の中で、この作品はご自分にとってどんな位置づけですか?
「シンデレラ」は1997年に作られ、2010年に改訂版として誕生しました。1995年初演の「白鳥の湖」のあとに振りをつけた最初の作品です。これは自分の中でもとても気に入っている作品で、パーソナルな家族のつながりを描いていることや、戦時中という設定が過去の話をより感動的にしてくれていると信じています。

日本の観客&ファンへの
メッセージ

予期せぬことが起きることにご期待ください!
お馴染みのおとぎ話を新しい視点から、壮麗な作品としてお届けすることを保証します。新たな発見があるはず。観ながら笑ったり泣いたりするでしょう。なぜなら、私の作品は誰もが知っている言語で描かれているからです。その言語とは「ダンス」。世界共通語であり、誰にでも分かります。
私たちの『シンデレラ』を初めて日本にお届けするのがとても楽しみです。
私たちと同じくらい、観てくださる皆さまもこの作品を気に入ってくださるはずです。
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